葵
ひより
2026年度税制改正大綱で創設が決定した「こどもNISA(こども支援NISA・仮称)」が、2027年1月から正式にスタートすることがほぼ確定しました。2023年末で廃止された「ジュニアNISA」の後継制度として注目されている一方、年間投資枠や引き出し制限など、ジュニアNISA時代とは仕様が大きく変わっています。
この記事では、2026年5月時点で公表されている制度概要を税理士・FPの視点で整理。「2027年1月スタート」「年60万円・累計600万円」「12歳ルール」の3つを軸に、家計に組み込むときの実務ポイントまで具体的に解説します。
こどもNISAとは?2027年1月スタートの基本情報
こどもNISAは、0歳〜17歳の未成年を対象に新設される少額投資非課税制度です。2026年度税制改正大綱に盛り込まれ、2027年1月1日からのスタートが見込まれています。詳細な運用ルールは2026年中に政令・省令で確定する予定です。
現時点で公表されている主な仕様は次のとおりです。
- 対象年齢:0歳〜17歳の未成年(日本居住者)
- 口座開設者:親権者が子ども名義で開設・運用
- 年間投資枠:60万円
- 累計投資枠(生涯枠):600万円
- 投資対象:金融庁の基準を満たす投資信託(つみたて投資枠と同水準)
- 非課税対象:売却益・分配金
- 非課税期間:無期限(恒久化)
- 18歳到達時の扱い:通常NISAの「つみたて投資枠」に自動移行
つみたて投資枠と同じく金融庁基準をクリアした投資信託が対象なので、個別株やテーマ型のリスク商品は対象外。長期・積立・分散の王道に絞られた制度設計と理解しておくとイメージしやすいです。
葵
ひより
廃止されたジュニアNISAと何が違う?4つの比較ポイント
ジュニアNISAは「使い勝手の悪さ」が常に指摘されていました。こどもNISAはその反省を踏まえて4つの大きな改良が入っています。
① 非課税期間が無期限に
ジュニアNISAは非課税期間が原則5年(ロールオーバーで延長)でしたが、こどもNISAは新NISAと同じく恒久化・無期限。18年単位の長期運用がそのまま非課税で完結します。
② 18歳まで引き出し制限が緩和
ジュニアNISA最大の壁だった「18歳まで引き出し原則禁止(途中で出すと過去全期間が課税扱い)」のルールは廃止されました。こどもNISAでは子どもが12歳以上になり本人の同意があれば引き出し可能とされる方向で、教育費が必要なタイミングへの柔軟性が大きく高まります。
③ 年間投資枠が80万円→60万円に
枠は減りましたが、累計600万円までの長期保有が前提なので「ペースを落として長く積む」設計に振っています。これは、つみたて投資枠と同じく長期・積立・分散の思想を子どもの口座にも徹底させる狙いと読み取れます。
④ 18歳到達時に通常NISAへ自動移行
18歳に達すると、こどもNISAの資産は通常NISAのつみたて投資枠に自動移行。改めて買い直す必要がなく、評価益も引き継いだまま非課税が続きます。ジュニアNISAでは「成人後どうするか」が悩みの種でしたが、ここはスムーズに整理されました。
年60万円・累計600万円をどう使う?教育資金の試算
こどもNISAは「使い切らないと損」という制度ではなく、家計に無理なく組み込める範囲で長期積立するのが基本です。代表的な3パターンで試算します(年利4%・複利、税引前で計算)。
| 積立額 | 0歳〜18歳・18年積立 | 累計投資元本 | 運用後の評価額(年4%想定) |
|---|---|---|---|
| 月1万円 | 児童手当ペース | 216万円 | 約316万円 |
| 月2.5万円 | 年30万円・枠の半分 | 540万円 | 約790万円 |
| 月5万円 | 満額利用 | 1,080万円(※累計600万円超) | 枠の上限600万円までしか非課税枠は使えない |
※年利4%は過去の全世界株式インデックスの長期平均を参考にした保守的な仮定値です。将来の運用成果を保証するものではありません。
注意したいのは累計600万円という生涯枠。月5万円の満額ペースだと10年で枠を使い切り、残り8年は新規買付ができなくなります。教育費のピーク(大学進学=17〜18歳)を見据えると、月2〜3万円のペース配分が現実的です。
引き出し制限と「12歳ルール」の落とし穴
こどもNISAは子どもが12歳以上になり本人の同意があれば引き出し可能とされる方向で議論が進んでいます。一方で、12歳未満は親権者の判断だけでは引き出せないケースが想定されており、運用ルールの確定までは注視が必要です。
これは「親が生活費の穴埋めに子ども名義の資金を流用する」事態を防ぐ設計と読めます。とはいえ、「中学受験で塾代が必要になった」「私立中学への進学で学費が増えた」といった想定外の支出に対応しづらいという指摘もあります。
そのため、教育資金プランは次の3階建てで設計しておくと安心です。
- 1階:生活防衛資金(流動性)=普通預金で生活費6か月分
- 2階:中高の教育費(短中期)=定期預金・学資保険・親の新NISAつみたて枠
- 3階:大学費用以降(長期)=こどもNISA+親の新NISA成長投資枠
こどもNISAは「3階」の長期マネーに位置付けるのが王道です。短期で取り崩す可能性のあるお金を入れないことが、引き出し制限と上手に付き合うコツになります。
今からできる準備:児童手当と新NISAつみたて枠の活用
2027年1月のスタートまで、まだ約8か月あります。今のうちにやっておきたい準備は次の3つです。
① 児童手当の口座を分けて貯めておく
2026年現在、児童手当は所得制限が撤廃され、0歳〜高校生まで月1〜1.5万円支給されます(第3子以降は増額)。この手当をそのまま生活費に紛れ込ませず、子ども専用口座で貯めておくと、こどもNISA開始時にまとまった原資(数十万円規模)を一気に投入できます。
② 親の新NISA「つみたて投資枠」で先行積立
こどもNISAが始まるまでは、親自身の新NISAつみたて投資枠(年120万円)に教育資金分を仮で積み立てておくのが定石。2027年スタート後にこどもNISAへ資金移動する場合は、いったん売却→子ども名義口座で買い直す形になります。
③ 投資対象ファンドの目星をつけておく
こどもNISAの対象は金融庁基準を満たす投資信託。具体的には、つみたて投資枠で人気の以下のような商品が候補になる見込みです。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)/信託報酬 0.05775%
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)/信託報酬 0.0814%
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド/信託報酬 0.162%
※対象ファンドは2026年中に金融庁が確定リストを公表予定。上記は2026年5月時点でつみたて投資枠人気上位の参考例で、こどもNISAでの採用を保証するものではありません。
葵
ひより
まとめ:こどもNISAは「家族の長期マネープラン」を変える
こどもNISAの要点を整理します。
- 2027年1月スタート確定。0歳から口座開設可能
- 年60万円・累計600万円まで非課税で積立可能
- 非課税期間は無期限。長期運用と相性◎
- 引き出しは12歳以上+本人同意が必要となる方向
- 18歳到達時は通常NISAのつみたて投資枠に自動移行
- 今やるべき準備:児童手当の別口座貯蓄/親の新NISAで先行積立/対象ファンドの目星
2027年スタートに向けて、政令・省令での詳細確定が続きます。FinLaboでは新情報が出次第、続報記事でアップデートしていく予定。家族のマネープランを一段階アップデートしたい方は、ぜひフォローしておいてください。
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※本記事は2026年5月時点で公表されている情報をもとに作成しています。こどもNISAの詳細仕様は2026年中に政令・省令で確定する予定で、内容が変更される可能性があります。投資には元本割れのリスクがあり、本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


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