📚 連載「AI葵の100万円投資チャレンジ」について
FinLabo編集部がAIエージェントに運用判断を委ね、専属の税理士・FP1級保有者が執行を担当する、実弾100万円の長期実証企画です。連載まとめはこちら。
※ 本企画のAIエージェント(内部名「葵」)は Anthropic 社の Claude Code Max プランで動作するシステムです。
連載第4回は、AIエージェント(内部名「葵」)が組み上げた最終ポートフォリオと、4月30日夕方の発注の一部始終です。連載①〜③で議論してきた運用方針が、このタイミングで実弾の運用に切り替わります。
4月末時点の相場と為替——意思決定時の市場環境
意思決定には、その瞬間の市場環境が必ず影響します。最終配分を決めた4月末時点の主要指標は次のとおりです。
- 日経平均株価:6万円台に到達(史上最高値圏・4/27に60,537円で初の6万円台乗せ)
- S&P500:約7,170ポイント(高値圏で推移・米イラン和平協議の進展で堅調)
- ドル円:約159〜160円(4/30に160円台乗せ・GW中の円売り警戒)
- 米10年金利:4%台後半(高止まり継続)
株式市場は史上最高値圏で強気一色。為替は160円台に乗せて円安が一段と進行、米金利は高止まり。「分散しながら、高値圏での慎重な入り方を意識する」局面でした。
※ 4月30日の東京市場は、原油急伸とメタ下落をきっかけに前日比632円安のトリプル安となり、日経平均は5万9,284円まで押し戻されています。一日で6万円台から振り落とされる乱高下でした。
この値動きを受けて、AIエージェント側で「購入を1日待つ案」が一瞬検討されたものの、結論は 予定通り進める。理由はシンプルで、待機資金30%という保守設計と、5%調整入りで発動する追加投入トリガーは、まさにこういう日のために用意したもの だからです。仕込み弾を温存している以上、押し戻しは取得単価を下げるチャンスとして扱えます。
4月30日 16:45、楽天証券で実発注
当初は5月1日朝の発注予定でしたが、4月30日夕方の時点で配分は完全に固まっており、もう1日待つ必然性が見当たりません。4月30日 16:45、楽天証券で5本のファンドを一気に発注 しています。
注文内容(5本+待機資金)
| ファンド | 注文額 | 配分 | 約定予定 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 200,000円 | 20% | 5/7 |
| eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 150,000円 | 15% | 5/8 |
| iFreeNEXT インド株インデックス | 150,000円 | 15% | 5/8 |
| iFreeNEXT ベトナム株インデックス | 100,000円 | 10% | 5/7 |
| iFreeNEXT 全世界半導体株インデックス | 100,000円 | 10% | 5/7 |
| 待機資金(楽天MMF・円キャッシュ) | 300,000円 | 30% | — |
1日早めて発注した理由:「待つ意味がなかった」
4月30日の市況は値動きが大きいものの、投資信託の約定は申込日の翌営業日以降が基本 です。当日の値動きが直接買付価額になるわけではないので、発注を1日遅らせる合理的な理由はありませんでした。配分は固まっており、追加で詰めるべき論点もない。翌日まで持ち越す必然性が一つも見当たらなかった ——というのが、夕方に発注ボタンを押した判断根拠です。
待機資金30%は、市況のブレに動じない設計のため に残したもの。押し戻しが続いてS&P500か日経が直近高値から5%以上の調整 に入れば、追加投入トリガーが発動します。仕込み弾を温存しているからこそ、最初の発注を躊躇する理由がありません。
連載の信頼性は、決めた配分通りに動けるかにかかっています。「もう少し下がるかも」「もう少し上がるかも」と先延ばしすれば、一生スタートが切れない。「設計を信じて押す」 ——これが本企画の運用判断における基本姿勢です。
運用情報の伝達不足:NISA枠の残額
運用設計上の想定通りにいかなかった点がひとつあります。AIエージェントに、当年のNISA枠使用状況が伝達されていなかった ことです。
2026年のNISA成長投資枠(年240万円)は、別の積立で181万7,452円を使用済み、残りは58万円台でした。当初は5本すべてNISAに収める計画でしたが入りきらず、ベトナムと半導体は特定口座での購入になっています。AI運用は、入力情報を一つ漏らすだけで現実と小さくズレる——その教訓として記録します。次回以降、NISA枠の残額もインプットに必ず含めるルールにしました。
約定スケジュール
- 5/7(木)約定:S&P500・ベトナム・半導体(受渡 5/12〜13)
- 5/8(金)約定:TOPIX・インド(受渡 5/11・5/14)
取得単価・取得口数は約定後に確定し、連載⑤で全公開します。まとめページもリアルタイムで更新していきます。
最終ポートフォリオ:5本のファンド+待機資金
100万円の最終配分は、5本のファンド+待機資金の構成です。読者の方が同じ銘柄を確認できるよう、協会コードも明記します。
| 投資先(協会コード) | 金額 | 比率 | 役割 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 03311187 / 三菱UFJアセットマネジメント | 20万円 | 20% | 長期投資の王道インデックス(軸) |
| eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) 03317172 / 三菱UFJアセットマネジメント | 15万円 | 15% | 円建てアンカー(為替リスク中和) |
| iFreeNEXT インド株インデックス 04314233 / 大和アセットマネジメント | 15万円 | 15% | 新興国の長期成長(Nifty50連動) |
| iFreeNEXT 全世界半導体株インデックス 04312257 / 大和アセットマネジメント | 10万円 | 10% | AIインフラ・テーマ型 |
| iFreeNEXT ベトナム株インデックス 04312246 / 大和アセットマネジメント | 10万円 | 10% | 新興国の成長余白(VN100連動) |
| 待機資金(楽天証券MMF・円キャッシュ) | 30万円 | 30% | 円高・急落時の押し目買い用 |
設計のポイントは3つです。
- 株式比率は70%、現金30%。S&P500が7,170・日経が6万円台の高値圏、ドル円も160円台に進行。「フルインベストはリスクが大きすぎる」と判断し、押し目買いの弾を厚めに確保する構成にした。
- 日本株(TOPIX)を15%入れて円建てアンカーを設置。連載③で議論した為替リスクへの直接的な答え。
- 30%の待機資金は「使わないお金」ではなく「仕込みのお金」。指数が5%以上の調整に入ったタイミングで、S&P500やインド株への追加投入を発動。
当初プランから変えた3つのポイント
連載③で発表した初期案は「ベトナム・インド・半導体・S&P500」の4本立て——すべて外貨建てでした。最終ポートフォリオでの修正点は3つです。
① 日本株(TOPIX)を15万円組み入れた
連載③で議論した通り、円建て資産を一定比率で持つことで、円高進行時のダメージを緩和できます。eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)に15万円。日経平均は4月末に6万円台の最高値圏に到達していますが、為替アンカーとしての役割が大事なので、過剰には入れず15%に抑えて採用しました。
② 待機資金を30万円——「仕込みのお金」を厚めに確保
ドル円が4月末に160円台に乗せ、S&P500も約7,170ポイントと史上最高値圏。この市況で全力買いに行くのは、「高値で仕込んで、円高で削られる」というワーストシナリオが現実味を帯びすぎている。連載③で議論した「待機資金は仕込みのお金」をフル活用するため、30%(30万円)を待機に回しました。指数が5%以上の調整に入ったタイミングで、S&P500やインド株への追加投入を発動するルールにしています。
③ S&P500の比率を抑え、地域分散を効かせた
連載③で選んだ初期案4本(ベトナム・インド・半導体・S&P500)はすべて維持。ただし、S&P500だけに集中させると米国株の高値リスクをまるごと背負うことになります。S&P500は20%に抑え、ベトナム(10%)・インド(15%)・半導体(10%)と組み合わせて、地域とテーマの分散を効かせる構成にしました。半導体はインデックス型のiFreeNEXT 全世界半導体株インデックスを選定。シリコンサイクルの読みにくさは、業種全体への分散投資で吸収する判断です。
最後まで検討した「全世界株式1本」案
最終局面まで検討の俎上に残ったのが、こんな案でした。
「100万円を全額、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)一本に投入する」
長期投資の王道は「広く、安く、長く」。オルカン1本でも世界の株式に分散できるし、為替も分散される。信託報酬も0.05775%と業界最安水準です。それでも最終的にこの選択肢は外しました。理由は3つです。
- オルカン1本だと、各国の比率は時価総額に従って自動的に決まる。米国60%以上のウェイトを「自分で選んでいない」状態は、投資判断を主体的に行う本企画のスタンスと整合しない。
- 新興国(インド・ベトナム)の長期成長と、半導体(AIインフラ)の構造的な拡大に、判断として「重みを置く幅」を持ちたかった。オルカン1本ではこれらは時価総額の重みのままに薄まってしまう。
- 市況のタイミング判断(押し目買い)を組み込むなら、待機資金枠を持たない「全力オルカン」よりも、複数のテーマで構成して機動力を残す方が、運用判断を反映できる。
本企画が選んだのは、「楽な答え」ではなく「判断を反映できる答え」でした。市場の流れに任せるのではなく、見立てを試す——これが本企画の本質です。
5月1日からの運用ルール
運用開始にあたって、編集部とAIエージェントの間で4つのルールが設定されました。
- 毎週月曜の朝に運用レポートを公開(前週の損益・市況・判断を全公開)
- 押し目買いの発動条件を明文化:S&P500・日経平均のいずれかが直近高値から5%以上の調整に入ったとき、待機資金30万円から最大10万円ずつ追加投入する
- 大きな配分変更は事前に編集部の税理士・FP1級保有者の承認を取る(暴走防止のチェック機構)
- 損切りラインは設けない(長期視点で評価。狼狽売り禁止)
勝ったら正直に勝ち、負けたら正直に負けを書く——これが、AIに100万円を預ける条件です。
【追記:4月30日 22時——公開30分後の出来事】
本記事を公開して30分後、ニュース速報が飛び込みました。財務省・三村淳財務官が「これは最後の退避勧告」——為替介入を強くけん制するコメントを発表。ドル円は160.724円までタッチして2024年7月以来の水準。その後、片山財務相と三村財務官の介入示唆発言を受けて、一気に155.566円まで急落——わずか数時間で −5.158円・−3.2% の歴史的な振れ幅です。
このニュースを受けて、本記事に書いた追加投入ルールに穴があることが判明しました。「S&P500か日経が直近高値から5%以上の調整で待機資金から10万円投入」だけだと、為替急変リスクへの備えが空白です。本ポートフォリオはドル/外貨建て資産が約79%(S&P500・半導体・インド・ベトナム)で、為替感応度がかなり高い構成。為替トリガールールを2本追加することになりました。
- rule_2:3%円高トリガー(自動発動)——5/8(最終約定日)終値を起点に、ドル円が3%以上の円高方向に振れた終値で発動。S&P500・半導体に5万円ずつ追加投入(最大3回)
- rule_3:3%円安通知ルール(手動判断)——5/8終値を起点に3%円安まで振れた終値で発動。自動売却はせず、含み益試算・リバランス候補・税コスト試算を通知。最終判断は編集部とAIエージェントで議論
非対称な設計ですが、これは意図的なものです。円高は「取得単価を下げる攻め」、円安は「既にある含み益を守る守り」で、本質が違うと判断しました。NISA枠は売却しても枠が戻らないため、機械的売却は税効率も悪くなります。
この書き換えに至った思考プロセスの全記録は、別記事にまとめています。
👉 【AI葵④.5】公開30分後、為替介入リスクで追加投入ルールを書き換えた話
連載の信頼性は、決めた配分通りに動けるか——そしてその判断を、リアルタイムで全部見せられるかにかかっています。だからこそ、公開後でも書き加えていきます。
⚠️ 免責事項
本記事は連載「AI葵の100万円投資チャレンジ」の運用記録・検証を目的としたコンテンツです。特定の金融商品への投資を推奨・勧誘するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。元本割れのリスクがあります。記載のファンド名・配分は本企画における運用記録であり、将来の運用成果を保証するものではありません。税制・制度に関する記述は2026年4月時点の情報に基づきます。
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