「学資保険」と「新NISA」、どちらで教育費を貯めるべきか。子どもが0〜10歳の共働き世帯では、いまだに多くのご家庭がこの選択で迷っています。2026年5月時点では、学資保険の予定利率はおおむね0.5〜0.8%水準、新NISAは年間最大360万円・生涯1,800万円という大きな非課税枠が走り続けています。FinLaboでは「正解は1つではない」前提で、家計余力ごとに選べる3パターンの配分を整理しました。
葵
なぜ「教育費850万円」が一つの目安になるのか
日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(令和5年度)」によると、高校・大学にかかる入学から卒業までの平均費用は、子ども1人あたり約965万円と報告されています。私立文系大学・自宅外通学を含むケースまで広げて整理すると、内訳の目安は次の通りです。
| 区分 | 想定費用 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 高校3年間(公立) | 約100万円 | 授業料・教材・部活・修学旅行 |
| 大学受験〜入学一時金 | 約100万円 | 受験料・入学金・敷金 |
| 私立文系4年間 | 約450万円 | 授業料・施設設備費・実習費 |
| 大学下宿・生活費4年間 | 約200万円 | 家賃・食費・交通費 |
| 合計(目安) | 約850万円 | — |
子ども1人あたり「教育費850万円」というのは、私立文系・大学下宿まで含めた現実的なライン。理系・医歯薬系であればさらに数百万円上乗せが必要になり、自宅通学に絞れば下振れする幅もあります。本記事ではこの850万円を18年(出生〜大学入学)でどう作るかをシミュレーションします。
2026年現在の前提:学資保険と新NISAの基本スペック
配分パターンを比較する前に、2026年5月時点の「使える道具」を確認します。学資保険・新NISAの基本スペックは次の通りです。
| 項目 | 学資保険(代表例) | 新NISA(つみたて投資枠) |
|---|---|---|
| 運用の性格 | 固定利率の貯蓄性保険 | 投信を非課税で運用 |
| 2026年水準 | 予定利率0.5〜0.8%/返戻率103〜107% | 年率3〜5%が現実的な期待値 |
| 元本割れ | 原則なし(中途解約は除く) | あり(株式市場の上下) |
| 非課税枠 | 生命保険料控除(年4万円) | 生涯1,800万円・運用益すべて非課税 |
| 柔軟性 | 低い(途中解約で元本割れ) | 高い(いつでも売却可・翌年に枠復活) |
| インフレ耐性 | 弱い(実質目減りリスク) | 強め(株式は名目で物価に連動傾向) |
学資保険の予定利率は、長らく続いた超低金利の影響で1990年代の4%台から現在は0.5〜0.8%まで落ち込んでいます。返戻率は契約年数や払込方法によっておおむね103〜107%。逆に新NISAは2024年改正で恒久化され、運用益への課税(20.315%)が一切かからない非課税枠が生涯1,800万円まで広がりました。
ひより
3パターン配分シミュレーション(18年・教育費850万円ゴール)
ここから、子どもの誕生から大学入学までの18年で850万円を作る前提で、3つの配分パターンを試算します。なお児童手当の月額拠出(2025年度改正後で総額約234万円)はパターン②と③で活用する想定です。期待リターンの数字はあくまで概算で、実際の運用成績を保証するものではありません。
パターン①:学資保険100%(インフレリスクを正面から受ける案)
- 月額拠出:約36,500円(18年間・払込総額 約788万円)
- 返戻率107%で受取総額 約843万円
- 追加で児童手当234万円を全額生活費に回せば、合計で約850万円相当に届く設計
- メリット:途中で死亡保障や育英年金がつく商品もあり、契約者死亡時に払込免除
- デメリット:月3.5万円超は共働きでも家計を圧迫/18年でインフレが10〜20%進めば実質目減り/途中解約で元本割れ
家計に強い余力があり、「投資はやらない/不確実性を取りたくない」家庭向けの設計です。ただし2026年現在の予定利率水準では、増える額より「強制貯蓄+保障」の機能を買っているという理解が現実的です。
パターン②:新NISAオルカン100%(投資慣れ世帯向け)
- 月額積立:20,000円(18年間・自己拠出 432万円)
- 児童手当:3歳以降の月10,000〜15,000円を全額NISAに振り替え(累計約234万円)
- 期待リターン3%(保守的)で18年後の評価額 約860万円/期待リターン5%なら1,000万円超
- 銘柄例:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)など低コスト全世界株式インデックス
- メリット:枠フル活用・非課税で複利が効く/途中で売って大学費用にあてる柔軟性
- デメリット:相場下落局面で予定額に届かない可能性/投資判断は読者自身に委ねられる
共働きでまとまった資金を運用できる世帯、夫婦のどちらかがすでにiDeCoや新NISAで運用経験のある世帯に向く設計です。重要なのは「18年後にちょうど現金化する」のではなく、入学前2〜3年で段階的にリスク資産を取り崩す出口戦略をセットで決めること。
パターン③:学資保険200万円+新NISA650万円(基本推奨・リスク分散)
- 学資保険:月額9,000円(18年・払込194万円)→ 受取200万円(返戻率約103%)
- 新NISA積立:月額15,000円(18年・自己拠出324万円)+児童手当234万円分の振り替え
- 期待リターン3%で新NISA分の評価額 約650万円/合計で約850万円
- メリット:学資保険分は確定資金として「最低限の入学金・初年度学費」を確保/NISA分はインフレ耐性で実質価値を維持
- デメリット:商品選びと配分管理に最初の手間/月24,000円は家計負担として無視できない
FinLaboがFP相談で最も多く提案する形がこのパターン③。「契約済みの学資保険を解約せず、追加分を新NISAに振り向ける」やり方なら既契約世帯でも導入しやすく、ファミリー全体のリスク分散にもなります。
児童手当をどう振り分けるかが分かれ目
2024年10月から児童手当が拡充され、所得制限も撤廃、第3子以降は月30,000円、対象も高校卒業まで延長されました。一人っ子世帯でも0歳から18年間で総額約234万円が支給されます。この資金を「生活費に溶かす」か「教育費投資にあてる」かで、18年後の到達額は大きく変わります。
| 使い方 | 18年後の試算(年率3%) |
|---|---|
| 生活費に消費(運用しない) | 0円(手取りに溶ける) |
| 普通預金で貯蓄のみ | 約234万円(金利分はほぼゼロ) |
| 新NISAで全額運用(オルカン想定) | 約298万円(+64万円) |
児童手当を「家計に組み込んでしまうと使う」のが現実。指定の証券口座に自動振替設定をしておくと、振り分けの実行率が大きく上がります。
「正解1つ」ではなく、家計余力で選ぶための判断軸
3パターンを並べて見ると、「とにかく月額拠出をいくらに置けるか」がスタート地点になります。次の判断軸で自分の家計に合う形を選んでみてください。
- 余力が月35,000円以上 × 投資はやらない方針 → パターン①(学資保険100%)
- 余力が月20,000円前後 × 投資経験あり → パターン②(新NISA100%+児童手当全振り)
- 余力が月20,000〜30,000円 × 既契約の学資保険あり → パターン③(学資保険+新NISA併用)
- 余力が月10,000円未満 → 配分を考える前に固定費の見直し・夫婦のNISA合算検討から
大切なのは「いま契約している学資保険を解約するか」を最初の選択肢に置かないこと。低利率時代の現契約でも、保険料払込免除(契約者死亡時)や強制貯蓄機能は依然として有効です。追加でNISA枠を使う発想に切り替えるのが、現実的に着手しやすい入り口になります。
葵
まとめ:18年で850万円を作る現実解
本記事の要点を整理します。学資保険は「インフレに弱いが確実」、新NISAは「リターン期待は高いが市況依存」という性質の違いがあり、それぞれ別の役割を持ちます。共働き家計で実行しやすいのは、最低限の確定資金を学資保険、それ以外を新NISAに振り向けるパターン③。児童手当の自動振替を仕組み化することで、無理なく実行を継続できます。
- 教育費の目安は「私立文系・下宿込み」で約850万円
- 2026年現在、学資保険の返戻率は103〜107%水準・新NISAは年率3〜5%が現実的期待値
- 配分は「家計余力 × 投資経験」で3パターンから選ぶ
- 児童手当は自動振替で「生活費に溶かさない」設計を最初に作る
- 既契約の学資保険を慌てて解約せず、追加分を新NISAに寄せる発想で着手
ひより
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※ 本記事は2026年5月時点の制度・税制・市況を前提に作成しています。学資保険の返戻率は契約商品・年齢・払込方法によって変動し、新NISAの期待リターンは将来の運用成績を保証するものではありません。具体的な投資判断は読者自身の責任で行ってください。


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